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『こっここここここうちゃん!?』
『ったくなんだよテメーはよっ!』
いくらなんでも反則だろが!後ろから殴り掛かってくるなんてよ!
後ろで震える結実を庇うように立つ。
『へっへっへ………ちぃっとばかし腹が減ってな、その食事やわ。』
久々にプチっときたぜ…こいつ…上等だ!言わせてもらう!
『食事?食事だぁ?ふざけんな!腹が減ったなら店に行け店に!!今の時代コンビニでもいきゃあ何でも手に入るだろって!つーか肉が食いたいなら吉野家に行けばいいだろが!わざわざ人間の肉食おうとかかんがえてんじゃねーぞこの腹ペコザリガニ野郎がっ!』
『こ、浩ちゃん!?』
結実が俺に何か言いたげに此方をみている。
うっせーぞ結実!もとはと言えば土壇場で『TSUTAYA返却日今日だったーっ!?』とか言い出すから悪いんだろうが!
『あいにくやけど吉野家好きやないんや…ま、嘘やけどな…。』
相手の姿が段々見えてきた。
金髪ロン毛か?頭に何か巻いてんな…パーカーにダボシャツ…ダボパン…?
文字通りダボ野郎じゃねーかっ!
ん?
ゆらりと僅かな光を右手に握るソレが反射した。
あ、あれ?まさか…日本刀?つまりコイツが…!?
『結実…逃げろ、コイツ噂の通り魔だ。』
『え?』
『早く走れ!』
『う、うん!』
走って逃げる結実を見送る。
とはいえ俺にこのクレイジーを何とかできるとも思えん…せめて結実が通報する時間さえ稼げたら…。
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