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そんな生徒達の様子などつゆしらず、春樹は真っ赤になって倒れた斎を腕に早足に寮管室に向かっていた。
斎に負担がかからないように慎重に歩を進め階段を下りていく。
本当ならエレベーターを使えばいいのだろうが、いかんせんエレベーターが苦手な春樹………三日前と同じように、エレベーターに乗って、自分まで気分が悪くなって倒れてはと、階段を選んだ。
幸いな事に、斎は男子高生にしては小柄で、そんなに重くもないので抱えて階段を下りるぐらいはなんて事ない。
慎重に、しかし素早く階段を下り、一階につくと一直線に寮管室を目指す。
「斎、大丈夫か!?
待ってろよ、もうすぐ寮管室につくからな。」
腕の中で、先程より力無くぐったりして見える斎に励ますように声をかけるが、返事はない。
ただ単に、春樹の素顔にあてられてヘロヘロになっていた斎だったが、そんな事に気付かない春樹は、ますます焦り、斎を抱えたまま駆け足になる。
「斎、しっかりしろ!」
寮管室のベルを鳴らす時間も惜しく、両手は斎を抱えていたので、ドアを蹴破るように開ける。
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