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床にへたりこんだ川上に背を向け歩き出したら
「みっ……水戸先生、なななっ、何したんですか!」
瀬尾がバタバタとついてき、声をかける
「…………内緒。」
俺が薙乃瀬家の者だというのは、言わない。
この学校は、名前に囚われる奴らが多すぎる
名前を言ったが最後、名前だけを見て俺自身を見てくれなくなる。
此処の生徒会長の伊集院がいい例だ。
名前の権力と、みてくれだけしか見る奴がいない。
生徒達に人気で、何時も人に囲まれ華やかに見えるが
……………孤独
俺には堪えられない。
しかし伊集院と言えば、気になる事が一つ……………………、中臣が俺を生徒達に突き飛ばす前に耳元で囁いた言葉
『黒瀬は伊集院会長のものですから………。』
黒瀬は付き合っている奴がいると言っていた。
これは本人の口から聞いたので確実だ。
しかし、それが伊集院というのが納得がいかない。
何故なら、黒瀬はまだこの学園に来て二日目……………。
伊集院との接点が全く解らない。
それに伊集院と言えば、プライドが高い俺様で、生徒の中にもかなりのセフレがいたはずだ。
そんな男が、何処でどうやって黒瀬と出会い、ましては付き合うなど想像もつかない。
多分、中臣が逃げる為に咄嗟についた嘘だろう。
俺は考えてついた予測に満足して、ボロボロのシャツを着替える為、職員寮に急いだ。
これが大きな間違いだったと気付くのは少し先の事だった。
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