2285人が本棚に入れています
本棚に追加
結局すべての店をまわり終わった頃には太陽が既に地平線に隠れ始めた後だった
「残ったのはこれだけか…」
史翔は様々な色に光石を手の平で弄(もてあそ)びながらつぶやく
ほとんどの金貨は消え去り、この世界の住人ではない史翔にこの石の価値が分かる訳がない
「まぁ、しょうがないか」
頭を怠そうに掻きながらつぶやくと前方に歩いている二人を呼び止める
「おーい!そろそろ戻るぞー」
「「はーい!!」」
二人は史翔の声に反応し、返事をして笑いながら駆けて来た
路地裏に戻ってきた3人はパンとジャム、ハムにチーズを食べる
「おいしいね!お兄ちゃん!」
「そうだね!」
決して豪華ではないけれど少年と少女からは笑みが絶える事はなかった
「っと…、そうだそうだ」
史翔は自分の分を食べ終わるとそう話を切り出した
「二人に名前を決めるって話しただろ?それで一応考えたんだけど……」
今日店をまわりながらずっと考えてた事
自分を見つめる二人の顔を見回し
「“カイ”と“ソラ”って言うのはどうだ?」
「カイ…」
「ソラ…」
自分にあてがわれた名前を復唱し
「「ありがとう!!シト兄!!」」
喜びながら二人は史翔に抱きついた
「「―――!?!?」」
だが、そこでカイとソラの表情が一瞬で喜びから驚愕へと変化する
「ん?どうした?」
史翔はそれに首を傾げ、尋ねるとカタカタと震えだしたカイが答えた
最初のコメントを投稿しよう!