~~出会い~~

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「シト兄……身体が消えてるよ? な、なんで?」 「なに…?」 史翔は自分の右手を掲げ、目を凝らす すると確かに右手は透けてきていて向こう側の風景が見えた 「なんでだ……?」 そうこぼしても誰も答えらる筈もなくすでに完全に右腕の肘までが消え去ってしまう 「なんで!?シト兄!!」 「悪い、お別れみたいだな」 目尻に涙を溜めたソラに史翔は自嘲気味に笑う 「そんな嫌だよ!僕達シト兄と別れたくなんかない!!!」 けれど、カイの叫びも虚しく史翔の身体はどんどん消えていく 「どうも無理みたいだ。悪いな?一緒にいてやる事ができなくて」 残った左腕で二人の頭を撫でる 下半身も消え失せ、別れが近い事を示していた 「…っだぁ!やだぁ!!行かないでよシト兄!!!ボク達を置いていかないで!!」 「ごめんな? けど俺がいなくても君達は生きていける。協力してくれる人ができたからな」 涙でボロボロになった顔を見て苦笑いしながら史翔はお別れの言葉を紡ぐ 「俺の事は忘れた方がいい。障害でしかないからな。 ただ君達は生きる価値のない人間なんかじゃない。 価値は自分達で見出だすモノだから…。 生きろよ?」 そう言い残し、史翔は二人の前からその姿を消してしまった……
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