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SIDE:カイ
ガシャ…
僕達の目の前から初めての温もりが消えた
残ったのはシト兄が持っていた光る石が入っている袋だけ
「…うっ…く、ひっぐ…」
隣で妹のソラが止めどなく両目から涙を流し、僕もまた同じように泣いていた
たったわずかな時間だったけれど僕達は本当にシト兄の事が大好きだった!
「シト兄……!」
地面に落ちた石を拾って握り締める
それだけがシト兄が確かにここにいたという事を証明していた
『俺の事は忘れた方がいい。』
なんでそんなこと言うのさ!
忘れない…忘れる訳がない!!
あなたが初めて僕達と普通に接してくれた人だから!!
シト兄に買ってもらった服の袖で涙を乱暴に拭う
「ソラ……いい加減泣き止みなよ」
「だ、だってお兄ちゃん!シト兄がシト兄がいなくなっちゃったんだよ!?」
「わかってる!でも今の僕達にはどうする事もできない!!」
僕はソラの肩を掴む
「僕達は強くなる!強くなってシト兄を探しに行くんだ!!
もう別れないように!離れ離れにならないために!!」
「お兄ちゃん……、うん!ボク達で探しに行こう!!」
袋に入っていた石を一つずつ自分達のお守りとして握り締める
再会のお守りとして……
必ず探すよ、シト兄。会ったらまた頭を撫でて笑いかけてほしい
だから……待ってて!
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