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雨の降る夜傘も
ささずに俯き歩く僕…
ふと空を見上げれば
厚い雨雲が広がっている
空
僕は雨が好きだ…
まるで全てを洗い流してくれそうで涙を流してもばれないだろ?
全身がびしょ濡れなんだから
だけど…この淡く軋む心の痛みは洗い流さないで欲しい…僕の中に貴女がいた事の証になるから
少しずつ小雨になる雨
雨音は厳しい音から
優しく人を包む
音へと変わる
僕は雨が好きだ…優しく包んでくれる雨音は心を癒す音色になるから…
だって…綺麗な音だろ?水溜りに落ちる雨粒の音…まるで女神の奏でるハープの音色の様で
だけど…この胸に刻まれた甘く苦い傷だけはどうか癒さないで欲しい…この傷は貴女が僕の中にいた証だから…
無茶な願いだがどうか五月雨よ…この甘く苦い傷口の熱だけを癒しておくれ…僕の胸の奥底にまた甘い傷がつくその日まで…
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