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「好きじゃないよ」
俺の言葉を聞いて、ビクッと肩を震わせる彼女。
まっすぐ前を向いて、俺とは視線を合わせようとしない。
「好きじゃ…ない、の?」
「うん、好きじゃないよ」
「嫌い…?」
「さぁ、どうだろう?」
そう言って、俺は再び雑誌に視線を落とす。
…ック……グスッ…
あーぁ、泣いちゃった。
「さっき俺が言ったこと、自分で言ってみ?」
「好き、じゃ…ない…ック」
「だよな?」
「うん…」
コクコクと彼女は頷く。
「"好きじゃない"よ。"愛してる"んだから」
驚いた表情。
そうこなくちゃ。
「ばーか」
雑誌を置いて、笑ってやると、涙で顔をグシャグシャにして、真っ赤な彼女は、
「私も…!」
なんて可愛いこと言いながら、抱きついてきた。
お前に嘘なんかつかねーよ。
(好きだからこそいじめるたくなるのは、男の性ってもんだろう?)
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