夏の思い出

5/20

2229人が本棚に入れています
本棚に追加
/201ページ
それから7年後・・・ 俺は現在、赤城学園〔あかぎがくえん〕に通っている高校二年生となり、 いつものように学校に登校している。 五月も後半に入り桜の木はもう散って完全に緑色になり、桜よりも皐やつつじが目に付く。 子供の頃は花を取ってよく蜜を吸ってたなぁーと思い出に浸っていると 「おっはよ、虎白。」 「いったぁ!!」 と後ろから思いっきり頭を叩かれながら声をかけられ、俺は脳震盪〔のうしんとう〕を起こしそうな痛みに悲鳴を上げる。 こんな事する奴はあいつしかいない。 振り向くと片一方に髪を結んだ一人の活発な女子生徒がいる。 やっぱり玲か・・・ 「この暴力女。この平和主義者の俺様に手をあげるな、独裁主義者め。」 「だっ、誰が独裁主義者よっ!!レディーに向かってあんた・・・どういう神経してんのよ!」 と玲が文句をたれる。 朝っぱらから人を殴る奴に神経がどうだとか言われる覚えはないし、 もしあれが挨拶なら世界はきっと戦争だらけだ! それにしてもレディー?what?一体誰の事だか・・・ とツッコミ所は山程あったが俺は口にはしなかった。 何故って? 殴られるのが嫌だから・・・ こいつは幼馴染で同じクラスの西野玲〔にしのれい〕。 典型的な活発で元気な女子生徒で陸上部に入っている。顔立ちは整っていて特に運動部の男子から人気があるらしい・・・が中身を知らないって怖いよな・・・。 そのせいで俺が運動部から憎しみの目で見られたこともあったのだが思い出したくないので思考をやめた。 当然、目指す場所は同じなので玲と一緒に行くことになる。 まぁこいつと話してると飽きる事もないし結構楽しい。 2人でたわいのない話をしながら歩いていると校門の前に見覚えのある顔が2人いる。 ちなみに挿絵は§†はる†§さんに描いてもらいましたimage=174369515.jpg
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2229人が本棚に入れています
本棚に追加