夏の思い出

7/20
前へ
/201ページ
次へ
「そうなんですか!?いいですね先輩方・・・。私のところも転校生でも来ないかな・・・。」 ともう一人の茶色の髪を軽いツインテールにした女子生徒が転校生という言葉に反応してぼやいた。 こいつは1年生の沢村諷音〔さわむらかざね〕 いつも元気で明るい後輩で美月と同じ風紀委員をやっている。よく美月と一緒にいるからいつのまにか俺や玲とも自然に打ち解けていった。 諷音は転校生が来て欲しいのか・・・ いい事考えた!! 「そういや諷音、なんだかお前のクラスにも転校生が来るらしいぞ。」 と俺が言ってみる。 当然、ウソ。こいつは疑うって事をまったく知らないから騙しがいがある。 「なんでも、イケメンのマットラーイン・フォストマンって名前で、元気で明るい奴が好みだとか・・・今頃、職員室にでもいるかもしんねぇから覗いてきたらどうだ?」 と俺は笑いをこらえまじめな顔して言う。早く職員室に行け!・・・もう笑いをこらえるの限界なんだ。 「本当ですか!諷音、行ってまいります。」と走り去って行った。 俺はそれを見すえてから 「アッハハハハッ!」 と笑いをこらえきれずに口と腹を抱えて笑った。 「やっぱり、ウソだったのね・・・。」 と玲があきれて言う。 「当たり前だろ、自分のクラスの転校生も知らない奴が下級生の転校生なんて知るわけないし大体、マットラーイン・フォストマンってありえねぇー!!」 と俺は笑いながら言う。 「諷音は信じやすい人なんですからあんまりからかったらかわいそうですよ・・・。それより、和泉君は転校生どう思います?」 と美月がいきなり切り替えしてきた。 いや、あんたも相当なもんだよ。 にしてもすごい切り替えしだな、おい!! 諷音の事、半分どうでもよかっただろ!! 「俺は別に興味ねぇよ。」 「そうですか?私は楽しみですよ。何でも綺麗な人が来るとか・・・」 綺麗な人ねえ。 女子の言う綺麗とか可愛いって男子にはイマイチ通じなかったりするからな・・・ 「じゃあまた後でね、美月。」 と玲が言い、 俺たちはその場を後にして教室に向かった。
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2230人が本棚に入れています
本棚に追加