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もう5年も住んでいる、私の帰るべきところに着いた。
駐車場には、夫の車が停まっている。
『まずい』
瞬間に、私の頭に浮かんだ言葉だ。
どうして、今日に限ってこんなに早い帰宅なのか。 いつもならば夜中に帰ってくるはずなのに。
仕事が終わってから、必ずといっていいほど飲んで帰ってくるか、マージャンかパチンコかなんらかの賭け事をして帰ってくるのに。 何故?
私の身体が硬直した。
またか? と。
気持ちを決めて、深呼吸して扉を開ける。
「ただいま…」
そこには、夫が立っていた。
「何してたんだ、テメェは!」
もはや、私は『テメェ』扱いだ。 多分、世の中のペットよりも酷い扱いを受けているだろう。
「ごめん、仕事が長引いて…」
「嘘をつくな! さっき電話したんだぞ。 とっくに帰ったって言うじゃねーか!」
「……」
電話までかけるんだね。 お手上げだ。 職場まで介入されたら。
「なんでそんな嘘をつくんだよ。 やましいことがあんだろう?!え?!言ってみろよ!!」
そう言うと、私の髪の毛を掴み、奥の部屋に引きずりこまれる。
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