プロローグ

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海岸沿いを、運転に気をつけながらも海を観ながらしばらく走ると、田舎町の高台にぽつんと立つ建物がある。 そこが私の職場だ。 もう、働き出してから2年が過ぎようとしていた。 仕事が特殊な画像処理などをするようなものゆえ、変化があって楽しいからか、毎日があっという間に過ぎていった。2年の歳月はそれを思わせないものだった。 海は、日々その表情を変える。 穏やかで、全てを受け止めてくれる日。 私の心も穏やかになる。海に溶け込んでしまいたくなる。 ある日の海は、その感情を顕にして、怒りの表情を見せる。 そのとき、私の心はざわつく。海に、戒められてるような気持ちにすらなってしまう。 お願い、穏やかになってと、心の中でつぶやいてしまう。 海沿いの道路を走らせているときに、ウミネコが道路の真ん中で車に轢かれて死んでいることがあった。  羽があって、空を飛べる鳥が何故道路で死んでいるのだろう? ふと、気になって一人想像してみた。 餌を見つけて、夢中で食べているときに轢かれた? それとも、力尽きて、落ちたところがそこだった? それとも… そして、思った。 自由が欲しい。 羽が欲しい。 どこへでも自由に飛んでいけるから。
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