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抑圧は、時には人の生きるという欲求まで奪ってしまう。
私は、『死』のほうがかなり楽だと思っていた。
だから、海岸沿いのあの道路を走っていると、吸い込まれるようにあの海の中に入っていってしまいたくなってしまう。
そうなったら…
きっと、とてもスムーズに宇宙に溶け込めるんじゃないかな、って。
それこそが、私が自由を得たときなんじゃないかな?って。
でも、現実はそうはいかない。
守らないといけないものは沢山ある。
私一人だったらいいけど、結婚して子供がいたら、そうはいかない。
怒っている海の状態のときに、『ごめんなさい』と思ってしまうのと同時に、『ならば、私を連れ去って下さい』とも思ってしまう。私の手を下さなければ、残されたものの悲しみは半減するのではないだろうか? と、安易なことまで考えてしまう。
生きるとはどういうことか? 息をするだけのこと? ただ、まんじりと日々を送ること? 食事を摂って、仕事をして、寝て、排泄して…それだけのこと?
違うよね。 何かが違う。 それだけでいいんだったら、私も、この瞬間ですらしている。
じゃぁ、死ぬってどういうことだろう?
呼吸をしなくなる? この肉体が、屍に変わる? 火葬場で焼かれて終わり? なんとか私を思ってくれた誰かが泣く?
ううん、そんなことじゃないはずだ。
生きるも死ぬも、そんなに簡単なことじゃない。
きっと、どっちにも、大きな意味があるんだよ。
でも…
私には、それが見えない。
じゃぁ、どうすればいいのか?
それすら見えない。
この、息苦しい状態の中、どうすればいいんだろう。 誰かは、きっと何もしてくれないんだろう。 自分の人生、きっと自分なのだろう。
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