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二人の会話は、周りの人達に一体どう――聞こえているのか?
彼女は、不意に思った。
(……付き合ってるように、見えるのかな?)
だが――その思考も、すぐに間違いである事に気付かされた。
外見から見ても、一目瞭然。
《会社の先輩と後輩》
周りからはきっと、そう見られているに違いない。間違っても“恋人同士”…なんて事は、天地がひっくり返っても思わないに決まっている。
それ程――二人の差は、大きいのだ。
「アネゴ?」
「ぇ?」
「エレベーター、着きましたよ?」
「ぁ、ぅん」
「気分、悪くなりました?」
「そんなんじゃないよ、全然平気!黒沢君は心配しすぎなのよ」
「はぃ」
「じゃ、また後で」
「また後でっ」
これから起こる出来事に、予想さえも出来ないまま――二人はいつも通り、エレベーターの前から左右へと…歩き出した。
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