第二十三章~願望~

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「本気で……言ってんっすか?」 「本気、って…」 「俺に出てってほしいって…本気で、思ってる?」 明彦から、何とも言えぬ空気が漂ってくる。 「出てってほしいって言うかっその方が――っ…黒沢君の、為だと思って……」 「…………」 「黒沢、君?」 「――俺は、《女》だから…とか、そんな風に思った事…一度もなかった。 今まで付き合った彼女は、気使う奴ばかりでっ――奈央子さんと逢って、一緒に暮らし始めるように…なって…‥ でも――っ、奈央子さんといると、そういう事気にしないで付き合えてて! ……朝、目覚めが悪いとことか――歯、磨いてるとことか、普段の服装とか…そういうの見ても、全然嫌じゃなくて――っ 女の人に対して、そういう風に思えるのって、何かっ!……嬉し、くて…だから俺も、本当の自分が出せて――っ!!」
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