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本当ならば、引き止めたい――
今すぐにでも、追いかけたい…。
だが、博美から言われた一言が――奈央子の足を止めていた。
《同情》
――そう、もしかしたら同情かもしれない。
彼に行ってほしくない気持ちは
“たんに自分が、寂しくなってしまうから”
“孤独になってしまうから”
――只、それだけの理由かもしれない。
そんな気持ちで彼を追い掛ける事など……出来なかった。
「行かないで、なんて……言えないょ…」
彼女の呟いた声は、周りの雑踏に掻き消され――聞こえる事は、なかった。
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