第二十四章~別れ~

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午後からの仕事――。 奈央子の手は、思うように動かなかった…。 目の前の明彦は、自分とは目を合わせようともせず――その事が、より彼女の手を重くさせる。 「何かあったんですか?」 心配そうに掛けてきた博美の声も、奈央子の耳には満足に届かなかった。 ――……‥‥ 時間はあっという間に過ぎ去り…終了の時刻を告げようとしている。 (黒沢君が帰っちゃう前に、話…出来ないかな?) 出ていく出ていかないにしろ、自分の気持ちは正直に伝えておきたかった。このまま、出逢った頃の元の関係に戻ってしまうのは――嫌だ。 奈央子は、視線の先の彼を見つめた。
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