第二章~出勤~

6/6
前へ
/264ページ
次へ
笑顔を見せる博美。 (口は悪いけど……良い奴よね――。 でも――まさか、黒沢君と一緒に住んでて…その事について悩んでるなんて…‥‥ ――言えなぃ) 「先輩?」 「ぇ?」 「大丈夫ですか?本当に、相談だったら乗りますけど――」 (絶対、無理) 「ぅうん、何でもなぃ。大丈夫ょ」 「本当ですか?」 「加藤も、意外と心配症なんだね?」 「先輩っ!」 「大丈夫だから、仕事しょ?」 「――もぅっ」 熟知している博美も、今の奈央子の心境までは見抜けなかったようだ。 それも…そのはず――。 十一年間、仕事バリバリの゛野田 奈央子゛ その目の前に座っている新入社員゛黒沢 明彦゛ 全く接点がない男女二人が、まさか同じ屋根の下で寝泊まりしている事など――誰も、想像しようがないのだから…‥‥
/264ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2272人が本棚に入れています
本棚に追加