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「アネ――」
「黒沢君は――っ」
明彦の言葉を、奈央子が遮る。
「黒沢君は――…何で、止めてほしかったの?」
突然の一言だった。
「何で、私に“行かないで”って…言ってほしかったの?」
「そ、れは――っ」
(何で??俺だってわかんねぇよっ!何か…瞬間的に、言葉にしてて――口に出してて……っ
‥……?俺、何で――)
「…良いょ」
「?」
試行錯誤している彼の耳に、その声は届いた。
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