第二十六章~同情~

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その明彦が、ハッキリと――その名を呟いた。 ……嬉しかった。 好きだから――とか、そういう事じゃなくて…… 純粋に、周りを気にする事なく――自分の名を、呼んでくれた事が只…‥‥ 《嬉しかった》 その嬉しさが、彼に対する“想い”――なのだろうか? 「同情で、泊めてもらってても……嬉しくなぃ、よね?」 奈央子は、その言葉の返答も聞かず――給湯室を足早に歩き出した。 まるで……恋の終わりを告げられたような――そんな息苦しさが、彼女の胸を…痛い程、締め付けていた。
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