第三十二章~再び…~

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「やれば良いんでしょ!?ったく、何でこんな事しなくちゃいけないのよっ」 ブツブツと文句を言いながらも、奈央子は再現通り――明彦と向き合った。 「はいっ!お望み通り、指定位置に着きましたよっ」 「…………」 「な、何ょ?何か…言いなさぃょ?」 「…じゃ、始めます」 「……ぅ、ん」 彼の妙に真面目な顔付きに、彼女も動揺してしまう。 (何よ…?ただ、再現するだけでしょ?何でこんなに真剣になんのょ……?? …――ゃだ、私まで緊張してきたじゃなぃ…) 数ヶ月前の、二人の出逢い。 春の香りだった風は、夏の訪れを告げ――少し冷たい風が…彼等を包んだ。
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