第三十三章~告白~

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「へなちょこの告白なんて、真剣に考えてやんないわよっ」 「へぇ~」 「嘘じゃないからね?」 「わかりました」 「本、当に…考えてあげないわょ?」 「はい」 「…本当に…良いの?」 彼の素っ気ない態度に、彼女も気弱になる。 「……良い、の?」 「ちゃんと…考えてくれるんでしょ?」 「…………」 何も言葉を発しないまま、奈央子は只――黙って頷いた。 「それだけで、良いです」 「…黒沢君」 「ァナタが考えてくれるだけで……俺は、十分だから」 「…………」 「…………」 「…ぁ、りがと」 二人の静寂が、揺れる木の葉(このは)の音を…一層際立たせた。
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