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「じゃ、行きますね」
「ぅん」
「また明日、会社で」
「ぅん」
「気を付けて、帰って下さいね」
「子供じゃないんだから…」
「でも…女の人だから」
「――黒沢君も、気を付けてね」
「はぃ」
遠ざかっていく、彼の後ろ姿を見送りながら――奈央子は自分の笑顔が綻んで(ほころんで)いくのを感じていた。
自分よりも年の差がある、一人の男性から告白をされたその日……決して、忘れられない夜になるだろう…。
まだ、きちんとした返事は出来ないけれど――彼が喜んでくれる答えは出せれる。
……そんな気がする。
「待っててね…黒沢君……」
だが――頬にあたる木の葉は、微かに冷たい気がした。
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