第三十六章~嘘付き~

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「本当ですか?」 「ぅ、うん」 「でも先輩――黒沢さんと一緒に住んでたんですよね?」 「だからそれは、勘違いだってばっ!言ったでしょ?黒沢君とは、何でも…なぃって――」 「本当に?」 「ぅん」 「先輩は、何とも想ってないんですか?」 《明彦の事を?》 「ぅ…ん」 (――嘘っ) 「良かったぁ~」 「だっ…て、十歳も年が離れてんだよ?」 (嘘、付くなっ) 「そうですよねっ」 「恋愛…っ感情なんて、ぁりえない…ょ」 (好きなんでしょ?本当は、凄く――好き、なんでしょ??)                                                              「一人の、男として……見て、なぃから…」 (…ウ・ソ・ツ・キ…) 想いとは反対に、奈央子の口からは明彦を卑下(ひげ)する言葉が次々溢れ出た。
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