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――言いたくない。
こんな事、言いたくないのに…止まらない。
「っあ、黒沢さん」
――ドクンッ
その声に、奈央子は咄嗟に我に返った。
「…………」
“聞かれた?”
「今…の、聞こえてました?」
真名美の質問に、明彦は笑みで答えた。
「何の事ですか?」
「良かったぁ、聞こえてなかったんですねっ」
“本当に?”
「じゃ、先輩!さっきの相談、考えといて下さいねっ」
「ぅ、ん…」
「お先に、失礼しま~すっ」
明彦の横を、彼女は嬉しそうに――満面の笑顔を浮かべ、走り抜ける。
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