第三十六章~嘘付き~

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…残ったのは―― 冷たい視線を、一心に向ける彼と… それを受け止める、彼女… 「……奈央子さん」 ――ビクッ 「はっ、ぃ」 明彦の声に、奈央子の体は敏感に揺れた。 《聞かれた!》 彼女の思考は、渦巻いた。 絶対に、聞かれたくなかった相手――だが、“聞かれてしまった”という……事実。 全部、嘘――さっき聞いてしまった事は、全て…嘘。 言いたい事は決まっているのに、彼女は上手く口に出せない。
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