第三十六章~嘘付き~

5/7
前へ
/264ページ
次へ
「――奈央子さん」 先に口を開いたのは…彼だった。 その声は――今まで聞いた、どんな響きよりも……優しかった。 「…黒沢、君」 「――ゎかりました」 「ぇ?」 「それが…ァナタの《答え》なんですね?」 (違うっ) 「違うのっ!あれは――っ」 「良いんです…ハッキリ言ってくれた方が、良いから……」 やはり、先程の会話を彼は聞いてしまっていたようだ。その誤解を解きたくて――奈央子は焦った。 「黒沢君、聞いて!あれには…ワケがっ」 「――十分です」 「…ぇ」
/264ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2272人が本棚に入れています
本棚に追加