第三十六章~嘘付き~

7/7
前へ
/264ページ
次へ
「……これ以上、俺に優しくしないで下さぃ…」 そのトーンは、彼女を凍らせた。 「…もぅ、良いですから…」 「く、黒沢…君」 これまで聞いてきた、どんな彼の声より――それは低く、冷たく…彼女を震撼させる。 「もぅ、俺に…話し掛けないで下さぃ」 「――そんなっ」 「…好きな、人に……必要以上に、優しくされんのはっ…ツラぃ」 「…………っ」 「仕事の話なら、聞きますから――」 「――…んで?」 「ぇ?」 「何で、そんなに……優しぃの?」 「――優しい?……俺が?」
/264ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2272人が本棚に入れています
本棚に追加