第三十八章~暴露~

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               「――私、前に先輩に言いましたよね? “幸せは、無理になるモノじゃない”…って」 「ぅん」 奈央子は、以前博美から告げられた言葉を思い出した。 見合い話の最中に、彼女が会議室で語った一言である。 「そのままの意味ですよ」 「ぇ?」 「…幸せは、無理に掴むモノじゃなぃ。…――先輩はあの時、本当に幸せになりたくなかったから、断ったんです。 ……本当に幸せになりたかったなら、相手から奪ってたはずですから――」 「…………」 「でも――今、先輩は自分の汚い部分を曝け出してまで…幸せになりたいと、思ってる…今が、その時でしょ? 無理に付き合うんじゃなくて――その人だから、この先もずっと…一緒にいたいと思ぅ…。 ……そぅ思った瞬間の相手と、幸せになりたいと願うのは…無理矢理じゃ、ないですょ?」
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