第四章~あい違い~

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しかし――先程、加奈に語った言葉を……もう一度リピートする。 「“結婚”…か」 自然と、口に出た。 「あんな事、偉そうに言っちゃってさ……馬鹿。私自身に言ってる言葉でしょ――偉そうに言えないっつ~の…」 奈央子は部屋横に備え付けてある、コーヒーへと手を伸ばした。 ――コポポポポ… 紙コップへコーヒーを注ぎ入れると、その黒み掛かった液体を体の中へと流し込む。 一瞬にして、体全体が満たされていく――。 悩みなんて、吹き飛ばしてくれるかのように…温かさが覆った。 そんな事で――消えるはずは、ないだろうに…‥‥
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