第五章~ご飯当番~

2/4
前へ
/264ページ
次へ
               「野田君!」 終了時間を告げるチャイムが鳴り響く、五分前の事だった。 坂口部長の声が、経営戦略部内に響き渡る。 「どうしたんですか、部長?」 「悪いっ!突然、重役会議で使う書類が明日までに必要になってね――すまないが、急いで作ってくれないか?」 「はい、わかりました」 「部長、先輩一人じゃ大変なんで…私も手伝います」 「良いって、加藤」 「でも先輩――」 気に掛けてくれる彼女に感謝しながら、奈央子は断った。 「大丈夫よ。それに今日、お稽古事があるって言ってたじゃない」 「それは――」 「すぐに、終わらせるから」 「…先輩が、そう言うなら」 奈央子の言葉に安心すると、博美は帰り支度を始めた。 その姿を見て、奈央子もホッと息を付く。 (大丈夫ょ、これくらい…慣れてるもの)
/264ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2272人が本棚に入れています
本棚に追加