第五章~ご飯当番~

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「アネゴ」 「ん?」 目の前の明彦が、声を掛けてきた。 「俺も、何か手伝いましょうか?」 「大丈夫よ、一人でやれるから」 「でも――」 「先に帰ってて良いから…」 奈央子は周りにバレないよう、パソコン越しに小さく発した。 「先に、帰ってて…」 もう一度繰り返す。 「…じゃあ、今日は俺が夕飯作ります」 「ぇ?」 「今日は、俺が作って待ってますから……早く、帰ってきて下さぃ」 「…………」 「アネゴ?」 「――ぁ、ぅん」 (何か、今の……) 胸の中で、微かな暖かさが生まれた。
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