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「アネゴ」
「ん?」
目の前の明彦が、声を掛けてきた。
「俺も、何か手伝いましょうか?」
「大丈夫よ、一人でやれるから」
「でも――」
「先に帰ってて良いから…」
奈央子は周りにバレないよう、パソコン越しに小さく発した。
「先に、帰ってて…」
もう一度繰り返す。
「…じゃあ、今日は俺が夕飯作ります」
「ぇ?」
「今日は、俺が作って待ってますから……早く、帰ってきて下さぃ」
「…………」
「アネゴ?」
「――ぁ、ぅん」
(何か、今の……)
胸の中で、微かな暖かさが生まれた。
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