第六章~待ちわび~

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「――よしっ、出来た!」 明彦は部屋に掛けてある時計を確認した。 自分がマンションに帰宅したのは、今から一時間程前――。 彼女は、まだ終わらないのだろうか? 明彦は、目の前に並べてある食事に目を向けた。 奈央子の為に用意した夕食。日頃、お世話になっている事もあり『たまには自分が!』――と、張り切って準備をしたのだ。 彼女は、喜んで食べてくれるだろうか…? ソワソワする鼓動。 自分でも、いつもよりも早く脈打っているのがわかる。 妙に落ち着かなくて、玄関付近へと足を向けてみるものの――そんな自分が、急に馬鹿馬鹿しくもなり… 「TVでも見るかっ」 テーブル上のリモコンを、手に取った。
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