第六章~待ちわび~

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「ただいまっ!!」 奈央子はその扉を勢い良く開いた。 「ごめん、遅くなっちゃ――っ」 だが、言葉を言い終わる前に…自分の体は正面の“何か”にぶつかる。 「黒沢君っ!?」 前方を塞いでいたのは、明彦だった。 「――何で、電話しなかったんっすか?」 「ぇ?」 「何で電話しなかったんだよっっっ!?外、凄ぇ雨だっただろっ!!」 「――っ」 「…信じらんねぇ」 「……ごめん、なさぃ」 「…………」 明彦の、予想していなかった怒りに――奈央子はどうして良いのか…只、謝る事しか出来ない。
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