第六章~待ちわび~

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そんな彼女の表情に、明彦ははにかんだ笑みを向けた。 「俺が――勝手に奈央子さんのマンションに上がり込んできたんですから、もっと俺の事……使って下さいょ」 「黒さ――」 「俺は、奈央子さんの身に何かあったら……例え――何してたって、どんな事があったって…絶対、駆け付けるから」 「…………」 「今回だって、奈央子さんに呼ばれたら…俺はすぐに、駆け付けたし――」 「…ぅん」 「今度からは、必ず…電話して下さぃ」 「……はぃ」 いつもなら、正反対の二人。 年下の明彦に怒られているのに、何故か――嫌な気がしない。 (こういうのも、悪くないかも……) 奈央子は、染まっているであろう自分の頬を…バスタオルで覆い隠した。
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