第七章~大好物~

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だが、奈央子はそこで重大な事実に気付いた。               (……今、おでんなんて季節じゃないし――) 季節は春を過ぎ、夏を迎えようとしている。 (おでん、以外の大好物……ないわけ??) そんな彼女の心境をよそに――視線先の人物は、黙々と食べ物を口の中へ運び続けた。 「じゃあ念の為、今日は早めに寝て下さいよ?」 「わかりました」 「じゃ、おやすみなさい」 「おやすみ」 二人は、それぞれの寝床へと別れた。     ●心の声● 『今日は、黒沢君の色んな面が見れた気がする…』 『今日は、奈央子さんの色んな面が見れた気がする…』 『今は無理だけど――これから先も一緒にいるなら…ご飯、作ってあげても良いかな?』 『……これからもずっと、ここにいて良いのかな?』 『なんてねっ』 『なんてなっ』
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