第八章~予兆~

3/6
前へ
/264ページ
次へ
バランスを崩し、傍のテーブルに思わず手が付く。 「ぁ、れ…?」 足元がフラ付き、思うように真っ直ぐ歩けない。 (ヤバイなぁ…雨に撃たれたのが、やっぱマズかったのかなぁ……?) 視線の先に、彼が見える。 幸せそうに寝息を立て、気持ち良さそうに眠っている。 (黒沢君に、これ以上――迷惑は掛けられなぃ…) 『……何度も、電話したんですょ?』 『今度からは、必ず…電話して下さぃ』 明彦の台詞が、頭をよぎる。 (ぁりがとね、黒沢君…) 彼の寝顔を見つめ、奈央子は無理矢理にでも自分の体をベッドへと運び入れた。 明日の朝――元気な顔を、明彦に見せる為に…‥‥
/264ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2272人が本棚に入れています
本棚に追加