第八章~予兆~

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「爆睡か?」 そう思ったが――そうではないかもしれない事に気付いた。 そう、昨晩の大雨である。 (まさか…な) 一つの選択肢を頭に浮かべながら、明彦は奈央子のベッドへ向かった。 「奈央子さ~ん?」 シャットアウトされている、白いスクロールを上げ――その顔を覗き込む。 だが、頭の先端までスッポリと被り…まるで彼女は《かくれんぼ》でもしているかのようだった。 思わず苦笑する。 「何、隠れてんっすか?朝ですよ??」 「…………」 わざわざ起こしにきたというのに、奈央子は動く気配がない…。 「いい加減に――…‥‥っ!?」 それは、布団を捲り上げた瞬間だった。 「奈央子さ――っっっ!」 その目に、荒く息を吐く――彼女の姿が飛び込んだ。
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