第九章~病弱彼女~

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それを確認した明彦は、安心したのか――穏やかに笑った。 「会社には、俺から連絡しときます」 「大丈夫、なの?」 「何がっすか?」 「だって、黒沢君が連絡したら…おかしいじゃなぃ――」 「?」 「変に、思われるよ?……良いの?」 ――フッ… それは、鼻で笑ったような――皮肉めいた笑いなのに…奈央子の胸は、何故かそうは感じなかった。 「何、言ってんっすか?そんな事、気にしなくて良いから…」 「でもっ――」 「寝てて下さい。俺が、何とかします」 明彦が、頼もしく見えた。 「……ゎかった」 「じゃ、取り敢えず――出来る限りの事はやって出ますから、アネゴはトイレくらいしか起き上がっちゃ駄目ですよ?」 その言い方に、笑いが込み上がる。 「はいっ」 奈央子の顔色は、落ち着きを取り戻していた。
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