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――事の始まりは、少し前の事。
明彦が、出来る限りの事をやっている最中に…不意に漏らした一言だった。
『ぁの――俺も休んで、アネゴの看病しましょうか？』
明彦はそれでも良いと思ったのだが――
『駄目っ、アナタは行きなさい！私の体調不良で、黒沢君まで休ませるわけにはいかないわっ』
奈央子は、それをアッサリと拒否した。
そして今、再度チャレンジした彼を――彼女は変わる事なくＫ.Ｏしたのである。
「ゎかりました…諦めて、会社行きます」
「ぅん」
普通、男性からこんな台詞を言われたら――女性はまず、喜ぶものだと思っていた。
明彦も、その一人だった。
だが……゛野田 奈央子゛という女性は、そうではないのだ。
彼女は年上という面もあるが、自分に対して“プライド”を持っている。
明彦は、それを忘れていた。
――しかし、伝えるべき事は伝えておかなければ…‥‥
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