第十一章~疑い~

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「今日、野田さん遅くないですか?」 「そういえば、黒沢も遅いな…」 真名美と共に、明彦の先輩立花までも口にする。 「珍しいな――まだ、連絡もないしな…」 坂口部長まで気にしているようだ。 (先輩…早く来ないと、へなちょこと噂になっちゃいますよ?) 博美が心配する中、その姿は現れた。 「おはようございますっ!」 「黒沢っ、遅いぞ!」 立花の声が飛ぶ。 その声に、坂口部長は反対にトーンを落とした。 「無断欠勤かと思って、ヒヤヒヤしたぞ」 「すみません、部長。急用があったもので――」 「急用?そういえば、今日は野田君もまだなんだ…君と同じで、急用でも出来たかな?」 「ぁ、あの――部長っ!」
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