第十六章~アネゴ~

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「どっすか?」 「ぅん、美味しいよ」 「良かったぁ!」 「何、もしかして…自信、なかったの?」 「――ちょっと」 彼の、恥ずかしそうな表情に…奈央子も嬉しくなる。 こんなにも、自分の事を気に掛けてくれている。 例えそれが――“結婚を考えられない相手”だとしても…。 「――まだ、苦しいですか?」 奈央子がうつ向いたのを、明彦は体調がまだ本調子ではないと判断したのだ。 「大丈夫、良くなったから」 「本当に?」 その明彦の言葉に、思わず苦笑する。 「黒沢君も、意外と心配症なんだね?」 「ゃ、俺は――」 照れる彼に、彼女は付け足した。 「この間も、加藤に同じ事言われた」 「加藤さんに?」 「そっ!皆、結構心配症だよね」 「何、言ってんっすか?」 「ぇ?」 「“アネゴ”だからでしょ?」 「は?」
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