第十六章~アネゴ~

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                             「今回――黒沢君がいてくれなかったら…こんなに早く、治ってなかったと思うの。 ……最初、黒沢君がここに転がり込んできた時は、どうしようかと思ったけど―― でも、今は…アナタがいてくれて、良かったと思ってる……。 …ぁりがと、黒沢君」 「そ、んな…事――」 彼女の感謝の気持ちと、自分に対する気持ち。 嫌われていない、邪魔だと思われていない――その事が、明彦の中を潤していった。 (凄ぇ、嬉しいんだけど――っ) 「黒沢君?」 「は、はいっ」 「どしたの?顔、緩んでる」 その言葉に、彼は嬉しくなるばかり―― 「かっ、からかわないで下さいよっ!」 (やっぱり、可愛いっ) その笑顔に、彼女の中は解れて(ほぐれて)いくばかり―― 今や二人は……互いに、なくてはならない存在まで…発展してきていた。
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