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「く、黒沢っ!ちょっと待て、落ち着くんだっ!!」
先手を切って明彦を止めたのは、坂口部長だった。
「流行る気持ちはわかるが、時と場所を考えろっ!なっ?」
「…………」
彼の声に、明彦は彼女をエレベーターに押さえ付けていた腕の力を緩めた。
目の前では、息を荒くした奈央子が恥ずかしそうに顔を埋めている。
「……すみ、ません…」
自分のやってしまった事の重大さに、明彦は素直に謝罪した。
●心の声●
『やべぇ…理性、完全に飛んでた』
『馬鹿っ!黒沢君の馬鹿っ!』
『……めっちゃ、可愛かった』
『こんなとこ見られて…もぅ会社に来れないじゃなぃ』
『止めてくれなかったら…マジでヤバかったし』
『…――恥ずかしくて、顔…上がんなぃ』
《若さの為せるパワー》
その場にいた誰もが、そう思った。
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