Ⅰ 金髪碧眼の軍人

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  「お姫様は白いドレスを好んで着ていらっしゃる。だから、ちょっぴり派手な方が似合うと思うんだ。今なら二割引で、」   「……お前。俺相手に商売する気か」   ああごめんごめん、と宝石商はわざとらしく肩を竦めて指輪を片付けた。   「話が脱線してしまったね。えっと……、そうそう。だからさ、僕は貴族の奥さんに似合いそうなアクセサリーを並べてねぇ」   いやそこから脱線しているとグレイスは突っ込もうとするが、  「奥さんは、これが気に入ったと、エメラルドの入ったネックレスを欲しがった」     どうやら話を止める気はなさそうである。     「けど旦那さんは、いいやこのエメラルドのブレスレットが似合うと言う。それから何故か僕を巻き込んでの夫婦喧嘩が始まった。まぁ両方とも値段同じだし、商人の僕としては両方買ってくれた方が儲けになるんだけどさぁ。二人がね、お前はどっちが良いと思うかなんて訊ねてきたからさぁ困った。両方お似合いですよと言っても、この際どっちが正しいか決着つけてやるなんて滅茶苦茶な事になってね。で、それを僕に決めろとか言う訳だよ。夫婦ってのは面倒臭いねぇ」     あの時は本当に困ったと、友人はわざとらしく腕を組んで、悩んでいるような仕草をして見せた。  
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