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「グレイス。君ならどちらを選ぶ?」
突然問われて、紅茶を飲んでいたグレイスは少し噎せた。
そして深く考えずに、
「貴族はネックレスを好むんじゃないか?」
「それは君の母上の事かな」
「……そうだ」
そうか、グレイスはネックレスだと思うんだねと、宝石商は胸元を少しいじるような仕草を見せた。
「ハズレ」
「え? じゃあ、ブレスレットを選んだのか?」
サファイアは、紅茶の入った銀の水筒を懐に仕舞いながら言った。
「ダイヤモンドの指輪だよ」
それは選択肢になかったじゃないかとグレイスは馬鹿にされたような気がして怒鳴るように言った。
友人は紅茶を煽ってティーカップも懐に仕舞う。
「怒鳴る事ないじゃないか。ねぇグレイス。つまりは“そういう事”なんだよ」
「どういう……」
「人は選択肢を提示された時、例えばそれが二択だった場合は、必ずどちらかを選ばなければならないと思い込む」
さっきのネックレスとブレスレットみたいにねと友人は唇だけで笑った。
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