Ⅰ 金髪碧眼の軍人

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  「だから、ギル・ストラ伍長を助けるのは、君でもいい訳だ」   そうだ。 そうだった。 そういう話をしていた。 グレイスは宝石商の友人の術中に嵌められたのだ。 僅かでも本題から離すという話術に。   「駄目なんだ。お前でなければ駄目なんだよ、サファイア!」     「軍は何故僕に拘る?」     中性的な。 冷たい声だった。   グレイスは言葉に詰まる。   「それはお前が、」   「今回の鬼神の誘拐話。興味深かったよ。ヤラセ臭いけどね」     サファイアの声はどんどん冷たくなっていく。先程までのとぼけた様子は微塵もなかった。   彼は砂色のフードを深く被り直してから立ち上がった。 そして、挨拶もなしにその場を去ろうとする。 グレイスは引き止めようと立ち上がるが、それは友人の言葉に遮られた。     「グレイス。隠し事が多過ぎると思うよ。人にものを頼む時はもっとはっきりした態度で臨むべきだよ。それに、言った筈だ」       嫌だ、ってね――       拒絶の背中を、グレイスは唇を噛んで見送った。 残されたティーカップと共に。                   Ⅰ,END.
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