Ⅰ 金髪碧眼の軍人

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          場末の酒場。 荒くれ者達が集い、酒を飲み、時に違法な取引等を行う胡散臭いところ。 常人は近付かない。     グレイス・アスティは、白い軍服を着込んだ自分が酷く場違いで、滑稽に思えた。     店に入った時から感じる視線は、グレイスに出ていけと言っていた。 確かに自分はそれなりの階級の軍人で腰に剣を下げてはいるが、決して好きでこのような場所に来たのではない。     待ち合わせに指定されたから来たのだ。     でなければ今直ぐにでも牢屋にぶち込みたい連中のたかり場になんか来るものか。   嫌いな酒の臭いと煙草の臭いに揉まれながら、グレイスは“彼”を探す。 何しろ目立つ格好だ。直ぐに見付かる筈――               「やぁ、グレイス」  
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