Ⅰ 金髪碧眼の軍人

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  「俺はただの鎮圧という事で小さな即興の隊を組まされた。その中にたまたまストラ伍長がいたんだよ。自分の背丈より長い薙刀を持っていてね。どこかぼんやりしていた。戦闘になってからもだ。敵国カルグランドの兵達は、ぼんやり突っ立っているストラ伍長が一番殺り易いと考えたのだろう。殆んどの兵士が伍長に斬りかかろうとしていた。俺は強者を相手にしていたから助けられなかった。相手に止めを刺した後、ああストラ伍長は死んだなと思いながら横目でちらっと見たんだ。……目を疑ったよ」   何が起きているのか、理解出来なかった。何が起きたのか、理解出来なかった。     血溜まりと。 死体に囲まれた幼い軍人。     相変わらずぼんやり立っていて、しかし誰も近寄ろうとしない。 恐れ戦いて。 敵方の兵士達の動きは完全に止まっていた。 そして、誰かが叫びだす。       鬼だ! 鬼がいるぞぉっ!       結局、鎮圧は僅か数時間で終わった。 隊長であるグレイスの活躍ではなく、ギル・ストラ伍長の活躍によって。 捕虜にしたカルグランドの兵士達は何故かみなギル・ストラを鬼と呼んだ。   最強の鬼。 無慈悲な神。 アレは人間じゃあない。 人間の姿をした、 「“鬼神”だ、と」  
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