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じゃぁ、と言ってよしちゃんは玄関へと歩いて行った。 私も教室へ向かおうとすると今度は肩をガシッと掴まれて思わずひっくり返った声を上げると人相の悪い香緒ちゃんが立っていた。 「か、香緒ちゃん…」 「聞いた…?ねぇ吉沢から聞いた?」 「う…うん…よしちゃんが悪いよね…」 「でしょ!もぅありえない!!…………で、吉沢なんて言ってた?」 「え?」 「仕返ししてやるとかいってた?」 「え!?言うわけないよ!」 「ほ…ホントに?さすがに吉沢が悪いとは言っても思いっきり殴り飛ばした上に尻蹴って部屋から追い出しちゃったから…」 そこまでやったんだ… そう考えると、相当よしちゃんは香緒ちゃんに甘いんだなぁ…。 「よしちゃん、結構反省してるよ。今日帰りに迎えに来るって。」 「う…うん…」 「…でも、うらやましいなぁ」 「何が?」 「よしちゃん、香緒ちゃんにアマアマなんだもん。そんなに思ってくれる相手がいるって…」 「アマアマ…かは分からないけど…。のりちゃんもそうなれそうだと思うんだけどなぁ…山田君と」 急に振られた内容に思わず言葉を詰まらせると香緒ちゃんは「どうしたの?」と顔を覗き込んできた。 「それがね………」 「う~ん…怪しげな女ね…」 教室について席に座ると、香緒ちゃんは探偵のように顎に手を添えて唸った。 「でも、春が言うにはもう諦めついてるんでしょ?」 「そうだけど…でもなんだか気になるの…それに…」 「それに?」 「山田君の好みがあんな美人だなんて…確かに、どっちにしても私なんて釣り合わないかもしれないけど…」 「山田君は見た目気にしないんじゃない?それにのりちゃんは可愛いよ。なんていうんだろう…守ってあげたくなるタイプ?」 「えぇっ!?」 ふざけてチュゥ~とかいいながら寄ってくる香緒ちゃんに苦笑いを浮かべる。 「おはよう~!何してるのぉ?私もやるぅ~!」 「春野君!?」 「ちょっと春っ!」 「浩輝!」 元気よく教室に飛び込んできた春野君が香緒ちゃんの真似をしてチュゥしようとしたのを山田君が呆れながら首根っこを引っ張って止めた。 「お前は駄目だろ」 「え~なんでぇ~スキンシップじゃぁん!香緒はしてたのに~」 「馬鹿。お前は男だろ」 「ちぇ~………あ、もしかして~ヤキモチ~?いだっ!!ひどい!殴らなくても!!」 「席つくぞ」 「やぁ~ん!香緒のりちゃん、また後でね~」
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